2012年03月25日

長期割賦販売等、工事等の損益(2)

工事の請負

(過去の改正)
平成10年度税制改正により、平成10年4月1日以後に締結する請負契約に係る工事について、次の点が改正された。

工事(製造を含む。以下同じ。)のうち、長期大規模工事に該当するものについては、工事進行基準の方法により各事業年度の収益の額及び費用の額を計算し、その金額を益金の額及び損金の額に算入することとされた(法64@)。
長期大規模工事とは、次の要件を満たす工事をいう(法64@、旧令129@A)。
イ 工事の着手の日からその工事に係る契約において定められている目的物の引渡しの期日までの期間が2年以上であること。
ロ 請負の対価の額が50億円以上の工事であること。
ハ その工事に係る契約において、その請負の対価の額の2分の1以上がその工事の目的物の引渡し期日から1年を経過する日後に支払われることが定められていないものであること。
なお、長期大規模工事以外の工事でその目的物の引渡しが着工事業年度後の事業年度において行われるもの(損失が生ずると見込まれる工事を除く。)については、工事進行基準による方法と工事完成基準による方法とを選択適用できることとされている(法64A)。
(適用関係)
改正後の規定は、法人が平成10年4月1日以後に締結する請負契約に係る長期大規模工事の請負について適用され、同日前に締結した請負契約に係る長期工事の請負については、改正前の規定が適用される(平10法附則10)。
なお、平成10年4月1日から平成16年3月31日までの間に締結する請負契約に係る工事について長期大規模工事に該当するかどうかの判定に当たって、上記ロの対価の額は、
平成10年4月1日〜平成13年3月31日の間に締結する請負契約については、150億円以上、
平成13円4月1日〜平成16年3月31日の間に締結する請負契約については、100億円以上、
とわれている(平10令附則16)。
平成20年度税制改正により、平成20年4月1日以後に開始する事業年度において着手する工事について、次の点が改正された。
(1) 制度の対象となる工事の請負の葉にの拡充
工事の請負の範囲にソフトウエアの開発の請負が追加された(法64@.令129@)。
(2) 長期大規模工事の請負に係る特例の見直し
@ 長期大規模工事の要件のうち、工事期間要件が2年以上から1年以上に、請負金額要件が50億円以上から10億円以上に、それぞれ見直された(法64@、令129@)。
A 工事進行基準の方法による経理を行っていなかった工事が、着手した事業年度後の事業年度にといてその対価の額の引上げ等の事由により長期大規模工事に該当することとなった場合には、それ以後は工事の進行基準の方法により収益及び費用を計上することとなるが、選択により、既往事業年度分の収益の額の計上を完成引渡しの時まで繰り延べることができるとされている特例が設けられている(令129D)。この特例に関して、法人が既往事業年度分の収益の額及び費用の額につき、工事進行基準の方法により経理した場合又はこの特例を受けなかった場合には、その経理した決算に係る事業年度又はその適用を受けなかった事業年度以後の事業年度については、その特例の適用ができないとされた(令129Dただし書)。
B 長期大規模工事については、工事に着手している場合であっても。事業年度終了の時点でその着手の日から6月を経過していないものや進行割合が20%未満となっているものについては、工事進行基準の方法による収益の額及び費用の額をないものとすることができるとされている(令129E)。この特例に関して、その長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の額につき、その確定した決算において工事進行基準の方法により経理した場合には。その経理した事業年度以後の事業年度については、この特例の適用ができないこととされた(令129Eただし書)。
(3) 長期大規模工事以外の工事の請負に係る措置の見直し
@ 損失が生ずると見込まれる工事の請負については。工事進行基準の方法を選択して適用することができる工事の請負の範囲から除外されていたが、その除外する措置が廃止された(法64A)。
A 工事の請負の対価の額が確定していない場合の取扱いの規定(令129C)を準用する規定が設けられ、請負の対価の額が確定していない工事については、その工事の請負に係る工事進行基準の方法による収益の額及び費用の額の計算において、その対価の額を見積もられる工事原価の額と同額とみなして取り扱うこととされた(令129H)。
B 対象となる工事の請負についてその着手の日に対価の額が確定していない場合には、その対価の額が確定した日を着手の日として法人税法第64条第2項の規定を適用することができることとされた(令129J)。
C 長期大規模工事に係る工事の着手の判定の取扱いの規定(令129F)を準用する規定が設けられ、その対象となる工事に着手したか否かは、その請け負った工事の内容を完成するために行う一連の作業のうち重要な部分の作業を開始したかどうかにより判定することとされた上、その工事の設計に関する作業がその工事の重要な部分の作業に該当するか否かは法人の選択によることとされた(令129I)。
(4) 工事進行基準による未収入金
工事進行基準により計上される未収入金相当について売掛債権等に該当することとされた。これにより、売掛債権等の帳簿価額とされた金額は。一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の計算の対象となり、税務上も貸倒引当金の計上ができることとなった(令130)。
(適用関係)
改正後の規定は、平成20年4月1日以後に開始する事業年度において着手する工事(製造及びソフトウエアの開発を含む。)について適用され、同日前に開始した事業年度において着手した工事については。改正前の規定が適用される(平成20法附則19@)。
平成20年4月1日から平成21年3月31日までの間に開始する事業年度に着手する工期1年以上2年未満かつ請負対価10億円以上15億円未満であるすべての工事について一の工事でも工事進行基準の方法による経理をしていない場合には、その事業年度に着手したすべての工事については改正前の法人税法の規定が機用される(平成20法附則19A)。

(注意点)
(1) 工事進行基準を適用した工事に係る原価の中に資本的支出があったため、それを否認した場合は、その工事に係る利益の額も異動するのに、これを利益の額の計算に関係させていないもの(令129B)。
(2) 法人が工事進行基準の適用において、工事原価を適正に見積り今後要する費用の一部を予備費用として計上しているのに、その予備費用を単なる引当てとして否認しているもの。
(注) 工事進行基準の適用における工事原価は、各事業年度末における現況で適正に見積もることとされている(令129B)。
(3) 一の契約により同種の建設工事を多量に請け負ったような場合であっても、その引渡量に従い工事代金を収入する旨の特約又は慣習がない場合は、部分完成基準を適用することができないのに、当該基準により工事利益を計上すべきであるとして否認しているもの(基通2-1-9)。
(4) ソフトウエアの製作等の役務の提供のみを請け負った場合には、法人税法第64条の工事進行基準に規定する工事の請負には該当しないにもかかわらず、工事進行基準の適用を認めているもの(基通2-4-12)。
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2012年03月24日

長期割賦販売等、工事等の損益(1)

長期割賦販売等

(過去の改正)
平成10年度税制改正により、平成10年4月1日以後に開始する事業年度から、次の点が改正された。
割賦基準により収益の額及び費用の額を計算する選択制度を廃止し、割賦販売等に係る商品の販売収益等については、金利相当部分を除き、商品の販売等を行った事業年度の益金の額及び損金の額に算入することとされた。
ただし、割賦期間が2年以上であること等所定の要件を満たす商品の割賦販売等(長期割賦販売等)については、延払基準により収益の額及び費用の額の計算をすることができることとされた(法63)。
改正後の規定によるこの制度の対象となる取引は、次のとおりである。
長期割賦販売等に該当する資産の販売等
イ 「資産の販売等」とは、資産の販売若しくは譲渡、工事(製造を含み、工事進行基準の適用対象となる長期大規模工事に該当するものを除く。)の請負又は役務の提供をいう(法63@)。
ロ 「長期割賦販売等」とは、次に揚げる要件に適合する条件を定めた契約に基づきその条件により行われる資産の販売等をいう(法63E、令127)。
(イ) 月賦、年賦その他の賦払の方法により3回以上に分割して対価の支払を受けること。
(ロ) その資産の販売等に係る目的物の引渡し及び役務の提供の期日の翌日から最後の賦払金の支払の期日までの期間が2年以上であること。
(ハ) その契約において定められているその資産の販売等の目的物の引渡しの期日までに支払の期日の到着する賦払金の額の合計額がその資産の販売等の対価の額の3分の2以下となっていること。
(1) 平成10年4月1日前に開始した事業年度においてその目的物の引渡し又は提供がされた棚卸資産若しくは役務又は資産若しくは工事の割賦販売等又は延払条件付譲渡等若しくは延払条件付き請負については、改正まの規定が適用される(平10法附則9@)。
(2) 平成10年4月1日以後最初に開始する事業年度の直前の事業年度において割賦基準の適用を受けていた法人については、平成10年4月1日から平成15年3月31日までの間に開始する各事業年度において行われた割賦販売等について、申告を要件に販売利益の一定割合を繰延べを認める経過措置が講じられている(平10法附則9A)。
また、平成10年度税制改正後の長期割賦販売等の規定では、延払条件付譲渡又は延払条件付請負で、損失が生じたものであっても延払基準の対象とすることができることとされた(法63)。
平成19年度税制改正により、次の点が改正された。
1 リース譲渡が長期割賦販売等の範囲に含まれることとなった(法63E)。
2 「リース取引に関する会社基準」に従ってリース料の総額と原価との差額を、利息法により各期に収益計上する方法が、延払基準の方法に追加された(令124@二)。
3 リース譲渡を行った場合には、その対価の額を利息相当部分とそれ以外の部分とに区分した場合に、リース譲渡の日の属する事業年度以後の各事業年度の収益の額及び費用の額は、当該各事業年度の益金の額及び損金の額に算入することとされた(法63A)。
平成20年4月1日以後に締結する所有権移動外リース取引に係る減価償却資産について適用し、同日前に締結された契約については従前のとおり(平19令附則11@、21)。

(注意点)
(1) 長期割賦販売等の特例は、確定した決算において経理することが要件となっているのに、申告調整により適用している法人計算をそのまま認めているもの(法63@)。
(2) 延払基準を適用する場合は、長期割賦販売等に要した原価の額に手数料の額を加算して計算すべきであるのに、これによっていないもの(令124@)。
(3) 延払基準を適用する場合において、長期割賦販売等に係る資産の評価減否認又は認容等があるときは。これらを塗油性した税務計算上の金額によるべきであるのに、これによっていないもの。
(4) 延払基準を適用する場合において、下取資産を時価以上で引き取った場合は、その時価を超える部分の金額を、販売等をした資産の値引きとして取り扱うべきであるのに、これによっていないもの(基通2-4-6)。
(5) 前期において延払基準を適用することができないものとして、その末実現利益を否認した場合に。当期において、その末実現利益のうち当期の入金額に対応する部分の金額を法人が利益に計上しているときは、。その利益に計上した金額に相当する額を当期において認容すべきであるのに、これを認容していないもの。
(6) 延払基準の方法による収益の額及び費用の額の計算において、法人が継続して差益率のおおむね同じものごとに一括計算している場合には、その計算が認められるのに、これを否認しているもの(基通2-4-5)。
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